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<新興国eye>トルコ中銀、大地震受けて0.5ポイント利下げ―1ポイント利下げ予想に反しサプライズ
2023-02-27 09:10:00.0
トルコ中央銀行は先週(23日)の金融政策決定会合で、6日に発生した大地震を受けて、震災復興を支援するため、主要政策金利である1週間物レポ金利に9%から8.5%に0.5ポイント引き下げた。市場の1ポイント利下げ予想に反し、小幅となりサプライズとなった。
中銀はコロナ禍からの景気回復に伴う急激なインフレ上昇を抑制するため、20年9月から利上げサイクルに入ったが、利上げが行き過ぎたとして、21年9月に利下げに転換。5会合連続で利下げしたが、リラ安が進行、インフレが急加速したため、22年1月から据え置きに転じた。しかし、同8月から利下げを再開、11月まで4会合連続で利下げし、利下げ幅が計5ポイントに達したため、同12月会合から前回1月会合まで2会合連続で金利を据え置いていた。利下げは22年11月以来3会合ぶり。また、8.5%の金利水準は3年ぶりの低水準。
中銀は会合後に発表した声明文で、利下げに転換したことについて、「大地震による生産や消費、雇用、期待への悪影響が広範囲に及び、短期的には経済活動に悪影響を与えることが予想される」とした上で、「震災の悪影響を最小限に抑え、震災復興を支援するため、緩和的な金融環境を優先する」とし、震災に配慮したとしている。ただ、中銀は、「大地震は中期的にはトルコ経済に恒久的な悪影響を与えることはないと予想している」と述べ、金融緩和は緊急対応措置という見方を示している。
また、中銀は0.5ポイントの利下げ幅について、「徐々にゆっくりとした(measured)利下げは震災からの復興を支援するのに十分だ」と指摘、追加利下げの可能性が低いことを強調している。しかし、市場では5月上旬の大統領選挙と国民議会総選挙を控え、その前に金利は7%にまで緩和されるとの見方を変えていない。
震災後のインフレ見通しについて、中銀は、「インフレは水準的にも傾向的にも改善しているが、大地震による需給の不均衡がインフレに与える影響を注視する」としている。ただ、その一方で、中銀は、「震災後も鉱工業生産の増勢と雇用の拡大傾向を温存するため、緩和的な金融環境を維持することが重要となっている」と述べ、インフレ圧力の上昇につながる震災復興にも配慮する方針。このため、市場では復興支援の財政出動や食料品の供給不足などにより、インフレリスクが高まると予想、一部では23年末時点のインフレ率見通しを従来予想の前年比43%上昇から45%上昇に引き上げている。ちなみに、最新の1月のインフレ率(全体指数)は前年比57.68%上昇で、中銀予測(1月26日発表)では23年末時点のインフレ見通しは同22.3%上昇となっている。
今後の基本的な金融政策については、中銀は前回会合時と同様、「経済指標がインフレの恒久的な低下(減速)を示し、中期的な5%上昇の物価目標が達成されるまで、(通貨トルコリラの急落を阻止する)リラリゼーション戦略に基づいて、利用可能なあらゆる金融政策ツールを使い続ける」としている。リラリゼーション戦略とは金融システムでのトルコリラの利用拡大により、インフレ加速要因となるトルコリラ安を阻止し、物価安定を目指すという戦略。市場では震災後のリラ下落を阻止するため、市場介入でリラ買いを進めると見ている。
震災被害については、トルコ企業経営者連合会(TURKONFED)によると、トルコ南東部10県(人口約1350万人)を襲った大地震(マグニチュード7.7)による経済損失額が対GDP比約10%の840億ドルに達すると予想している。また、市場では、トルコ政府が災害復旧費として数十億ドルの追加財政支出を実施するため、財政赤字は対GDP比5.4%と、従来予想の3.5%を上回り、大地震からの経済回復までには6−12カ月かかり、23年のトルコのGDP伸び率が0.6−2%ポイント押し下げられると予想している。
次回の金融政策決定会合は3月23日に開かれる予定。
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提供:モーニングスター社




