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<新興国eye>IMF―カンボジア報告書、世界経済のスローダウンが逆風に
2023-01-13 08:52:00.0
国際通貨基金(IMF)は、IMF協定第IV条に基づき、毎年加盟国政府と政策協議を行うこととなっています。2022年9月7日から20日に行ったカンボジアとの協議結果詳細について、12月18日にIMFから発表がありました。
カンボジア経済は、2021年後半からの輸出の回復に支えられて回復途上にありますが、世界的インフレと世界経済の成長鈍化という新たな課題に直面しているとしています。中国のゼロコロナ政策、欧米の金融引き締めによる消費者需要の鈍化、原油価格上昇等の影響によるインフレの進行等の逆風にさらされていると分析しています。2022年下半期は、縫製品等の発注が縮小傾向にあると指摘しています。それでも、2022年のGDP成長率は5.0%、2023年は5.4%と予測しています。物価上昇率は、2022年は5.8%にまで上昇しますが、2023年には3.5%に落ち着くと見ています。
国内では、新型コロナ対策の現金支援等によって、財政赤字が拡大しましたが、2021年の赤字(対GDP比)は7%にとどまり、2022年は4%に縮小する見込みです。国際収支は、経常収支の赤字(対GDP比)が2021年47.5%まで拡大したものの、2022年30.0%、2023年14.1%と落ち着いてくるものと予測しています。外国直接投資等が堅調で、2022年末の外貨準備は207.47億ドルと輸入の8.0カ月分、2023年末でも223.04億ドル(輸入の8.1か月分)という十分なレベルにあると予測しています。対外債務の状況についても「低リスク(青信号)」としています。リスクとしては、民間債務の拡大、先進国の経済状況、インフレをあげています。
IMFの理事会では、このレポートに基づき、カンボジア政府の新型コロナ対策と経済の回復を評価しました。また、様々なリスクはあるものの、成長見通しが概ね良好であることに合意しています。理事会は、カンボジアの中央銀行であるカンボジア国立銀行に対して、銀行監督の強化と金融政策の平常化を提言しています。新型コロナ対策としての貧困層向け現金支援等は、対象を絞り込みつつ継続することが妥当と指摘しています。長期的には、ショックに強い経済を目指して、財政の余裕を確保する必要があると指摘し、最近の初の国債発行を歓迎しました。今後の課題としては、包括的成長を支えるための構造改革、特に生産性向上を目指した政策が重要となると指摘しました。
【筆者:鈴木博】
1959年東京生まれ。東京大学経済学部卒。82年から、政府系金融機関の海外経済協力基金(OECF)、国際協力銀行(JBIC)、国際協力機構(JICA)などで、政府開発援助(円借款)業務に長年携わる。2007年からカンボジア経済財政省・上席顧問エコノミスト。09年カンボジア政府よりサハメトレイ勲章受章。10年よりカンボジア総合研究所CEO/チーフエコノミストとして、カンボジアと日本企業のWin−Winを目指して経済調査、情報提供など行っている。
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