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<新興国eye>ブラジル中銀、金利据え置き―インフレ見通しを引き上げ、タカ派寄りに
2022-12-09 08:46:00.0
ブラジル中央銀行は7日の金融政策決定委員会で、政策金利(セリック)である翌日物金利誘導目標を現行の13.75%に据え置くことを全員一致で決めた。市場の予想通りだった。
中銀はインフレの急加速を受け、21年3月会合で15年7月以来、5年8カ月ぶりに利上げに転換。今年2月会合まで最大1.5ポイントの大幅利上げを決めたが、3月と5月の会合で上げ幅を1ポイント、6月と8月の会合ではさらに半分の0.5ポイントに縮めている。ただ、これまでの利上げが12会合連続で昨年3月以降の利上げ幅も計11.75ポイントに達したことを受け、9月会合で現状維持に転換。これで金利据え置きは3会合連続となる。政策金利は16年12月(13.75%)以来5年8カ月ぶりの高水準となっている。
中銀は会合後に発表した声明文で、現状維持を決めたことについて、「世界経済は依然厳しい状況にある。インフレが引き続き上昇圧力を受け、来年は潜在成長率を下回る見通しで、金融資産のボラティリティが上昇している」とした上で、「先進国を含め、財政のファンダメンタルズに対し、市場はますます敏感になっていることに多くの注意を払う必要がある」とし、これまでの利上げがインフレや景気の先行きに及ぼす影響を慎重に見守りたいとしている。
また、中銀はインフレ見通しの上ブレ・下ブレリスクについて、前回会合時と同様、「コモディティ(国際相場商品)相場のさらなる下落、また、世界景気の予想以上の減速、23年には(ガソリンや電気料金などに対する)減税の逆転により、インフレ率が低下するリスクがある。その一方で、世界的なインフレ圧力上昇の長期化や将来の財政見通しと総需要を支える追加財政刺激策の不確実性によるインフレ上振れリスクがある」とした。
その上で、中銀は、「現在のシナリオには、特に(ルラ新大統領の財政支出拡大による)財政面での不確実性が高く、リスクを評価する際には冷静さが必要だ」とし、また、「財政政策の今後の展開、特に資産価格とインフレ期待への影響について、将来のインフレのダイナミクスへの潜在的な影響とともに、注意深く監視する」とし、インフレの先行きの不確実性が高まったとしている。
今回の会合で、中銀は22−24年の年間インフレ見通しを引き上げた。中銀は声明文で、「22年のインフレ率を6.0%上昇(前回会合時は5.8%上昇)、23年を5.0%上昇(同4.8%上昇)、24年を3.0%上昇(同2.9%上昇)と予想している」とした。ただ、24年には中銀の今年と来年の物価目標(それぞれ3.5%上昇と3.25%上昇)に収束するとの予想は維持している。市場では、今回のインフレ見通しの引き上げはルラ新大統領の社会保障政策が財政支出の急拡大を引き起こし、インフレの上振れリスクとなることを警告したもので、タカ派(インフレ重視の強硬派)スタンスを強めたと見ている。また、中銀とは対照的に24年もインフレ率は物価目標を上回り続けると予想している。
今後の金融政策について、中銀は前回会合時と同様、「政策金利を十分に長期間維持する戦略がインフレの収束を確保する上で十分かどうかを検討しながら、引き続き警戒を続ける」とし、当分の間、現状維持を続けたい考えを示した。また、中銀は、「ディスインフレ(物価上昇率の低下)のプロセスが定着し、インフレ期待が物価目標付近で抑制されるまで、現状維持を続ける」としている。
ただ、中銀は、「将来の金融政策は調整可能であり、ディスインフレプロセスが期待通りに進まない場合、金融引き締め(利上げ)サイクルの再開を躊躇しない」としている。市場ではインフレ上振れリスクが高まったとして、来年2月か同6月から利上げを再開すると予想している。
次回の金融政策決定会合は23年1月31日−2月1日に開かれる予定。
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提供:モーニングスター社




