新興国ニュース
<新興国eye>インドネシア中銀、予想通り0.5ポイント追加利上げ―通貨防衛で
2022-10-21 09:08:00.0
インドネシア中央銀行(BI)は20日の理事会で、通貨ルピアの急落を阻止し、インフレを抑制するため、主要政策金利の1週間物リバースレポ金利を0.50ポイント引き上げ、4.75%にすることを決めた。
また、中銀は過剰流動性を吸収するための翌日物預金ファシリティー金利(FASBIレート)も4.00%へ、翌日物貸出ファシリティー金利も5.50%へと、いずれも同率引き上げた。
利上げ幅は市場の大方の予想通りだった。ただ、一部では0.25ポイントの小幅利上げを予想していた。
中銀はコロナ禍が始まった20年2月、景気を支援するため、利下げを再開し、同年7月まで4会合連続で利下げを決めた。国内経済が2期連続でマイナス成長となった11月と21年2月に利下げを実施。利下げ幅は20年2月以降で計1.50%ポイントに達した。翌3月会合から据え置きに転じ、7月会合まで17会合連続で現状維持を決めたが、8月会合で18年11月以来、3年9カ月ぶりに0.25ポイントの小幅利上げに転換した。利上げは3会合連続。利上げ幅も1.25ポイントに達した。0.50ポイントの大幅利上げは前回9月会合に続いて2会合連続。
中銀は会合後に発表した声明文で、前回会合時と同様、「今回の利上げ決定はインフレ期待を抑制し、コアインフレ率を23年上期に物価目標(2−4%上昇)に収束させるための先制的かつ前向きな措置だ。また、引き続き国内需要が強まる中、(ドル高の進行など)世界の金融市場の不確実性が高まっていることを受け、経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)を反映するよう、通貨ルピア相場の安定化を強化する」とし、利上げにより、自国通貨を高目誘導し、インフレを抑制する戦略を継続する考えを示している。
世界各国、特に、FRB(米連邦準備制度理事会)の次回11月1−2日会合では、4会合連続の0.75ポイントの大幅利上げが予想されており、ドル高圧力の高まりが懸念されている。中銀は声明文で、「米利上げサイクルの長期化により、ドル高が一段と進むことが予想される。世界の金融市場の不確実性が高まるにつれ、インドネシアを含む新興市場の為替レートの下振れ圧力が高まっている。また、海外からのポートフォリオ投資資金の国外流出によっても一段とルピア安が進む」とし、強い懸念を示している。
市場ではインドネシアも利上げによる通貨高でインフレ抑制に動く、いわゆる、逆通貨戦争(通貨高戦争)に入ったと見ている。通貨戦争は通貨安による輸出競争力を高める戦略を意味するが、逆通貨戦争はその逆に、通貨高により、各国の国際的な購買力を支える中銀の努力を指す。中銀は声明文でも、「インフレを抑制し、マクロ経済を安定させる努力を援護するため、経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)を反映するよう、ルピア相場の安定を強化する」としている。
インフレ見通しについては、中銀は、「22年のインフレ率は従来見通しよりも低くなるが、それでも3%プラス・マイナス1%の物価目標のレンジの上限(4%上昇)を超える」とし、警戒を強めている。9月のインフレ率(全体指数)は前年比5.95%上昇と、8月の同4.69%上昇から伸びが加速。7年ぶりの高い伸びとなっている。ただ、9月のコアインフレ率は同3.21%上昇と、8月の同3.04%を上回ったが、「需要サイドからのインフレ圧力の低下などにより、依然、低い伸びにとどまっている」としている。
今後の金融政策について、中銀は前回会合時と同様、「ルピア相場の安定と景気回復を強めるため、ルピア相場の安定化政策を通じたポリシーミックス(複数の経済政策手段の一体運営)を強化する」とし、具体的には、「外為市場での介入を通じ、インフレ抑制の一環として、ルピア相場の安定化を強化する」とし、ルピア安阻止のドル売り・ルピア買いの市場介入を行う考え。また、中銀は、「引き続き、流通市場でのSBN(短期国債)の売買を通じ、SBNの短期の利回りを引き上げ、海外からのポートフォリオ投資の魅力を高める」としている。
景気の見通しについて、中銀は、「国内経済の回復が続いている。個人消費と設備投資の拡大、好調な輸出、政府投資に支えられ、経済は7−9月期も回復が続く」とした上で、「22年の経済成長率は中銀予測の4.5−5.3%増のレンジの上限近くになる」との見通しを据え置いた。
次回会合は11月16−17日に開かれる予定。
<関連銘柄>
アジア債券<1349>、上場EM債<1566>、アセアン50<2043>
提供:モーニングスター社




