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<新興国eye>インド準備銀行、賛成多数で0.5ポイント追加利上げ―今後も利上げ継続へ
2022-10-03 09:35:00.0
インド準備銀行(中銀)は先週末(9月30日)の金融政策決定会合で、インフレ加速を阻止し、景気を支援するため、流動性調節ファシリティ(LAF)の主要政策金利であるレポ金利(中銀の市中銀行への翌日物貸出金利)を0.50ポイント引き上げ、5.90%とすることを5対1の賛成多数で決めた。1委員が0.35ポイントの利上げを主張し、反対票を投じた。
市場では利上げ幅に焦点が集まっていたが、大方の予想は0.50ポイント、一部でより小幅な0.35ポイントが予想されていた。
中銀はコロナ禍の深刻な悪影響がインド経済に及ぶ恐れがあるとして、20年の3月27日の緊急会合で1年1カ月ぶりに利下げ(0.75ポイント)に転換。5月22日の緊急会合でも2会合連続の利下げ(0.40ポイント)を決め、利下げ幅は計1.15ポイントに達した。その後は今年4月まで11会合連続で据え置きに転じたが、インフレの急加速を受け、5月4日の臨時会合で0.40ポイントの緊急利上げに踏み切った。これで4合連続の利上げとなり、利上げ幅は計1.90ポイントとなった。5.90%の金利水準は19年8月以来3年ぶりの高水準。
中銀はレポ金利の引き上げに伴い、金融システムから余剰流動性(8兆3000億ルピー)を吸収するため、金利の上下幅(コリドー)についてもLAFのリバースレポ金利(市中銀行の中銀への預金金利)も同率引き上げ、5.65%に、市中銀行が資金ひっ迫時に中銀から政府債を担保に資金を借りることができる流動性供給スキーム「MSF(マージナル・スタンディング・ファシリティー)」と公定歩合もそれぞれ同率引き上げ、6.15%とした。
追加利上げを決めたことについて、シャクティカンタ・ダス総裁は声明文で、「インフレ率は依然として高く、物価目標のレンジ(前年比2−6%上昇)の上限を超えている。地政学的な緊張(ウクライナ戦争)の継続と神経質な世界の金融市場の動向から生じる不確実性により、インフレの先行きは依然として不透明だ」とした上で、「物価圧力の拡大を阻止し、また、インフレ期待を抑制し、第2ラウンド効果(賃金上昇によるインフレ加速)の影響を封じ込めるため、金融緩和のさらなる調整(追加利上げ)が必要だと判断した」としている。インドでは法律により、インフレ率が3四半期連続で物価目標の上限を上回った場合、是正措置を取る必要がある。8月のインフレ率は前年比7.0%上昇と、依然、物価目標の上限を上回っている。
また、中銀は今回の会合で、22年度(22年4月−23年3月)のインフレ見通し(全体指数)を6.7%上昇(前回会合時点も6.7%上昇)に据え置いた。22年度の第2四半期(7−9月)も前年比7.1%上昇(同7.1%上昇)、第3四半期(10−12月)は同6.5%上昇(同6.4%上昇)、第4四半期(23年1−3月)は同5.8%上昇(同5.8%上昇)と予想。第3四半期の見通しだけを引き上げた。23年度(23年4月−24年3月)第1四半期(4−6月)は5.0%上昇(同5.0%上昇)に据え置いた。インフレ見通しの前提条件である原油価格については1バレル当たり100ドル(同105ドル)に低下すると予想している。
景気見通しについては、中銀は原油価格を1バレル100ドルと想定した上で、22年度を7.0%増と予想し、前回会合時点の予想(7.2%増)を下方修正した。
今後の金融政策について、ダス総裁は声明文で、「MPC(金融政策委員会)は6委員のうち、5人の賛成多数で、成長を支えながらインフレ率が物価目標内に留まることを確実にするため、金融緩和スタンスからの撤退(金融引き締めへの転換)に引き続き注力することを決めた」とし、利上げを継続する考えを明らかにした。
ダス総裁は、利上げ継続の必要性について、「我々は、成長を支えながら、物価の安定と金融の安定を確保するため、毅然とした態度で臨む。今回の(追加利上げ)決定はこれらの目標を追求するための継続的な取り組みの一環だ」とし、利上げ継続の必要性を強調している。
また、中銀は通貨ルピー相場の下落阻止のため、この1年間で約1000億ドルの外貨準備を使って市場介入しているが、ダス総裁は、「中銀は為替相場の急激な変動を抑制し、インフレ期待を安定させるため、市場介入する。(為替介入に必要な)外貨準備の適正化には十分配慮しており、(外貨準備の)傘は依然、強い」とし、引き続き、ルピーの安定を維持するため、市場介入を続ける考えを示している。
次回の金融政策決定会合は12月5−7日に開かれる予定。
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提供:モーニングスター社




