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新興国ニュース

<新興国eye>カンボジアの現状―大変貌したシアヌークビル

2022-03-04 11:49:00.0

 22年1月に、カンボジア南部のシアヌークビル等を視察する機会がありました。

 2年ぶりのシアヌークビルは大変貌していました。まず、空港近辺から海岸を通って、オーチュティルビーチまで行くことができる片側3車線の道路が新設されていました。以前はアクセスが悪く、バックパッカーしかおらず、良い意味で閑散としていたオターズビーチは、海岸道路や浜辺の遊歩道が整備されて、明るいリゾート地に一変していました。また、ごちゃごちゃしていた客船ターミナル付近から海岸を埋め立てて、ソッカホテルに至る道路や海岸広場も建設が完了しています。このほか、市内の道路は拡幅整備されており、工事中は色々と大変だったようですが、町の雰囲気は大変貌していました。

 シアヌークビルと言えば「中国化」です。新型コロナウイルスのパンデミック(感染症の世界的大流行)以前は、中国人の不動産投資に支えられて、カジノやホテル、リゾートマンションなどが次々に着工されて活況を示していました。また、多くの中国人が移住・訪問して、町は中国語だらけとなり、シアヌークビルは第二のマカオであるとも言われました。しかし、中国の海外投資規制やオンラインカジノ規制に加えて、新型コロナの影響も大きく、多くの中国人が引き揚げてしまいました。

 今回の視察でも、建設が途中で止まった建物(カジノやホテル、リゾートマンション)を多数確認できました。中国の大手不動産会社の破たんも中国人の海外不動産投資に影響を与えるものと見られます。今後、建設工事が止まっている不動産をどうするかも重大な課題となりつつあるものと見られます。

 中国人は少し戻り始めているようでしたが、同時に犯罪も多発しています。銃器犯罪、ドラッグや売春に加えて、人身売買や強制労働といった犯罪の摘発が地元の新聞を賑わせています。中国に偏った開発の方向性について、今後カンボジア政府がどのように考えていくかが注目されます。

 また、中国軍の進出疑惑があるリアム海軍基地もシアヌークビル近郊です。道路の整備によって、シアヌークビル空港から海軍基地まで車で15分ほどとなっており、中国軍の輸送機による急速展開も可能な状況と見られます。米国が神経をとがらせるのもやむを得ないものと見られ、カンボジアの慎重な対応が望まれます。

【筆者:鈴木博】
1959年東京生まれ。東京大学経済学部卒。82年から、政府系金融機関の海外経済協力基金(OECF)、国際協力銀行(JBIC)、国際協力機構(JICA)などで、政府開発援助(円借款)業務に長年携わる。2007年からカンボジア経済財政省・上席顧問エコノミスト。09年カンボジア政府よりサハメトレイ勲章受章。10年よりカンボジア総合研究所CEO/チーフエコノミストとして、カンボジアと日本企業のWin−Winを目指して経済調査、情報提供など行っている。

◎当該記事は外部執筆者により作成されたものです。記事は執筆者が信頼できると判断したデータなどにより作成いたしましたが、その正確性などについて保証するものではありません。

提供:モーニングスター社