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新興国ニュース

<新興国eye>AMRO、カンボジアとの年次協議結果2021を発表

2021-12-10 11:56:00.0

 11月22日、ASEAN+3マクロ経済調査事務局(AMRO)は、21年4月19日−5月4日にカンボジアで実施した年次協議結果2021を発表しました。AMROは、この地域の経済・金融の監視・分析を行うとともに、ASEAN(東南アジア諸国連合)10カ国と日本、中国、韓国による外貨融通の取り決め「チェンマイ・イニシアティブ(CMIM)」の実施を支援するために設立された国際機関です。

 カンボジアのGDP(国内総生産)成長率については、20年のマイナス3.1%から21年の2.8%へと緩やかに回復すると見ています。22年には6.8%と高成長に回帰するとしています。

 海外での新型コロナの収束傾向に支えられて主要海外市場の需要が回復に向かっており、カンボジアからの輸出が堅調に推移していることが評価されています。物価上昇率は、21年に3.3%、22年に2.3%と安定的と見ています。対外収支については、経常収支の赤字は21年に対GDP比で24.2%まで拡大するものの、海外直接投資などで概ね埋め合わされて、総合収支は12億ドル程度の赤字に留まると予測しています。

 外貨準備は、21年末で201億ドル(輸入の9.1カ月分)と非常に安定的なレベルにあり問題ないと分析しています。財政収支は、新型コロナ対策などで赤字となっており、対GDP比で21年は5.0%、22年は5.6%と見ています。金融セクターでは、中央銀行の金融緩和策と新型コロナで困難な状況にある借入人に対する貸付条件変更が奏功したとしています。

 リスクとしては、新型コロナ感染再拡大があげられています。国内だけでなく海外で拡大した場合でも、輸出市場や観光に影響すると指摘しています。また、新型コロナで困難な状況にある借入人向けの貸付条件の緩和措置により、潜在的な不良債権が拡大している可能性もあるとしています。

 今後の課題としては、国内産業の育成と優先分野への外資誘致による経済多角化、インフラ拡充や熟練労働者の育成などによる競争力強化が必要としています。そのためにも、新型コロナで失業した労働者を今後発展が見込まれる分野へシフトさせていくことや、財政支出を短期的救済策から長期的経済回復策へとシフトしていくことが必要と提言しています。

 AMROとCMIMは、アジア通貨危機の際のIMF(国際通貨基金)の対応が失敗続きであったために、日本が主導して設立したアジア版IMFです。16年の設立協定発効以降、活動を本格化しており、アジアの視点に立った経済分析・監視を実施していくことが期待されます。

【筆者:鈴木博】
1959年東京生まれ。東京大学経済学部卒。82年から、政府系金融機関の海外経済協力基金(OECF)、国際協力銀行(JBIC)、国際協力機構(JICA)などで、政府開発援助(円借款)業務に長年携わる。2007年からカンボジア経済財政省・上席顧問エコノミスト。09年カンボジア政府よりサハメトレイ勲章受章。10年よりカンボジア総合研究所CEO/チーフエコノミストとして、カンボジアと日本企業のWin−Winを目指して経済調査、情報提供など行っている。

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提供:モーニングスター社