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新興国ニュース

<新興国eye>パリ和平協定締結30周年―カンボジア和平に日本が大きく貢献

2021-11-05 13:06:00.0

 1991年にパリ和平協定が締結されて10月23日で30周年となりました。あまり知られていないことですが、カンボジアの和平とその集大成であるパリ和平協定への道は、日本の協力なくしては実現できなかったといっても過言ではありません。ソ連(当時)や中国の横やりを防ぎつつ、米国の反対を抑え、タイやベトナムといった周辺諸国の同意を取り付けていった日本の独自外交の成功例と言えます。

 また、和平協定締結後も、日本は国内の反対を説得して初の自衛隊の海外派遣を実現し、国連暫定統治機構への協力(明石代表等)、多額のODA(政府開発援助)供与等でカンボジアの平和と発展を支えました。

 この日本の協力については、カンボジアの故シアヌーク前国王やフン・セン首相が何度も感謝の言葉を述べていたと伝わっています。21年の記念式典でも、三上正裕大使が、参加各国を代表してスピーチをされています。また、日本の外務省の外務報道官も談話を発表し、「カンボジア政府及び国民が、この30年間で平和を達成し、めざましい経済発展を遂げたことに祝意を表します」と述べました。

 パリ和平協定の立役者であった故シアヌーク前国王は、クーデターで自分を追放したロン・ノル派、自分の息子たちを惨殺したポル・ポト派、ベトナムの威を借るヘン・サムリン(フン・セン)派と合従連衡を繰り返し、ついに和平協定締結に至りました。前国王は、国をまとめるという重い責務の下で、耐え難きを耐え、面子を捨て、必要ならどんな妥協でもする一方で、国への愛は決して曲げなかったと思います。また、まだ若かったフン・セン首相も、大局観も持って和平協定に賛同し、その後のカンボジアの発展の道筋をつけたと言えます。

 1991年に現在のカンボジアの発展を想像できた人はいなかったのではないかと思います。30周年を記念して在カンボジア日本大使館は、動画を発表しています。外務省の当時の担当課長だった河野雅治氏が書かれた書籍『和平工作 対カンボジア外交の証言』を読み返してみたいとも思います。カンボジアの「親日」は、こうした多くの諸先輩方の尽力の積み重ねの上にあるものであることをかみ締めつつ、この友好関係が今後もつながれていくことを願ってやみません。

【筆者:鈴木博】
1959年東京生まれ。東京大学経済学部卒。82年から、政府系金融機関の海外経済協力基金(OECF)、国際協力銀行(JBIC)、国際協力機構(JICA)などで、政府開発援助(円借款)業務に長年携わる。2007年からカンボジア経済財政省・上席顧問エコノミスト。09年カンボジア政府よりサハメトレイ勲章受章。10年よりカンボジア総合研究所CEO/チーフエコノミストとして、カンボジアと日本企業のWin−Winを目指して経済調査、情報提供など行っている。

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提供:モーニングスター社