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新興国ニュース

<新興国eye>カンボジア公的債務統計報告書を公表―債務状況は問題なし

2021-10-08 12:33:00.0

 9月3日、カンボジア経済財政省は、公的債務統計報告書第12号を公表しました。2021年6月末現在のカンボジア政府の債務状況について詳細な統計により報告しています。

 1993年から2021年6月末までの累積で見ると、借款契約の総額は、148億3652万ドル(約1兆6320億円)となっています。そのうち、83.6%がインフラ整備に向けたものです。

 国別では、中国が最大で52億7341万ドル(全体の35.5%)、以下、アジア開発銀行34億5599万ドル(同23.3%)、日本18億7300万ドル(同12.6%)、世界銀行16億4294万ドル(同11.1%)、韓国10億1847万ドル(同6.9%)等となっています。

 2020年6月末の公的対外債務残高は、91億2212万ドル(約1兆34億円)となっています。

 債務持続性分析を見てみると、公的対外債務の現在価値の対GDP比率は25.1%(基準値40%)、同対輸出比率37.1%(基準値180%)、債務返済の対輸出比率である債務返済比率2.0%(基準値15%)、債務返済の対歳入比率6.2%(基準値18%)と、いずれも健全とされる基準値を大きく下回っており、全く問題ありません。ストレステストでも基準値を超えることは全くなく、対外債務については、カンボジアは大変な優等生ということができます。世界銀行・IMF(国際通貨基金)の判定でも「低リスク国(青信号国)」に分類されています。

 多くの途上国が、新型コロナ対策で多額の財政支出を余儀なくされ、また、経済状況も悪化する中で、対外債務に苦しみ始めています。カンボジアは、債務の過半が日本や世界銀行・アジア開発銀行からの譲許的借款であることに加え、債務マネジメントをしっかり行ってきたため、対外債務については概ね問題ない状況にあります。

 また、カンボジア経済は高度にドル化しているため、この先予想されるドル高によって、いくつかの新興国で懸念が高まっている急激な債務膨張や為替レートの変動の可能性も低いと言えます。いわゆる「債務の罠」に陥らないためにも、特定国からの借入に偏り過ぎないようにバランスを取りつつ、引き続き公的債務を管理していくことが必要と見られます。

【筆者:鈴木博】
1959年東京生まれ。東京大学経済学部卒。82年から、政府系金融機関の海外経済協力基金(OECF)、国際協力銀行(JBIC)、国際協力機構(JICA)などで、政府開発援助(円借款)業務に長年携わる。2007年からカンボジア経済財政省・上席顧問エコノミスト。09年カンボジア政府よりサハメトレイ勲章受章。10年よりカンボジア総合研究所CEO/チーフエコノミストとして、カンボジアと日本企業のWin−Winを目指して経済調査、情報提供など行っている。

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提供:モーニングスター社