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新興国ニュース

<新興国eye>カンボジア中銀、2021年上半期半期経済報告を発表

2021-08-13 11:03:00.0

 7月22日、カンボジアの中央銀行であるカンボジア国立銀行(NBC)は、2021年上半期経済報告を発表しました。カンボジアは、新型コロナの影響で経済に大打撃を受けており、政府としては、経済・社会の持続性を維持するための政策を実施しています。

 経済については、観光、輸出向け製造業、不動産等が特に大きな影響を受けていますが、農業だけは、今のところ大きな打撃を免れているとしています。

 また、マクロ経済は安定しています。物価上昇率は2.5%で、下半期も2.8%と安定的に推移するものと見ています。為替・国際収支も大きく変動しておらず、十分な外貨準備を維持していると強調しました。国際収支は、経常収支の赤字は続くものの、海外直接投資等で埋め合わせて総合収支は黒字であり、外貨準備は208億ドルと輸入の10か月分以上を確保し非常に安定的な状況です。為替も対ドルレートは安定しており、1ドル=4085リエルと20年6月から0.2%リエル高となっています。なお、カンボジアは高度にドル化した経済であり、ドル化率は82.5%であるとしています。

 銀行セクターも困難な状況に直面しているものの、上半期には貸付・預金ともに伸びており、強じん性を示しています。上半期には、貸付残高は23.4%増加し、預金も20.7%の増加でした。新型コロナの影響で返済が困難になっている借入人に対しては、合計36万7239件、22.2兆リエル(約55億ドル:約6000億円)について、返済の猶予等の貸付条件の変更を実施しています。この結果、不良債権比率は、銀行2.4%、マイクロファイナンス2.0%と問題ないレベルを維持しています。

 なお、NBCでは、銀行監督に加え、中央銀行デジタル通貨バコン等の電子決済システムの普及、銀行間決済システムの拡充、マネーロンダリング対策等も続けていくとしています。

 カンボジア経済は、新型コロナの影響を受けて厳しい状況にありますが、カンボジア政府やNBCは、脆弱な貧困層や打撃を受けやすい産業への支援策を実施しています。21年下半期以降、世界経済の回復が期待できる状況となりつつあり、22年以降のカンボジア経済の本格的な回復にも光が見えてきました。カンボジア政府・NBCの継続的な対策実施と、それを支える国際社会の支援が期待されます。

【筆者:鈴木博】
1959年東京生まれ。東京大学経済学部卒。82年から、政府系金融機関の海外経済協力基金(OECF)、国際協力銀行(JBIC)、国際協力機構(JICA)などで、政府開発援助(円借款)業務に長年携わる。2007年からカンボジア経済財政省・上席顧問エコノミスト。09年カンボジア政府よりサハメトレイ勲章受章。10年よりカンボジア総合研究所CEO/チーフエコノミストとして、カンボジアと日本企業のWin−Winを目指して経済調査、情報提供など行っている。

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提供:モーニングスター社