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新興国ニュース

<新興国eye>タイ中銀、政策金利を据え置き―2名の委員が利下げを主張

2021-08-05 11:27:00.0

 タイ中央銀行は4日の金融政策委員会で、政策金利である翌日物レポ金利を過去最低水準の0.50%に据え置くことを4対2の賛成多数で決めた。反対した2委員は0.25ポイント引き下げ、ほぼゼロ金利にすることを主張した。市場では全員一致による据え置きを予想していたため、2委員の利下げ支持はサプライズとなった。デルタ株感染拡大により、ロックダウン(都市封鎖)に等しい厳しい経済・社会規制の対象地域が全人口の43%、GDP全体の78%を占める29県に広がったことを受け、経済への悪影響を避けるため、過去最低の金利水準を据え置いた格好だ。

 また、デルタ株感染の猛威を受け、「21年は個人消費がかなり減少し、22年は外国人観光客数が大幅に減少する」として、21年と22年の経済成長率の見通しをそれぞれ0.7%増(前回6月予測1.8%増)と3.7%増(同3.8%増)に下方修正した。

 中銀は20年2月会合で政策金利を0.25ポイント引き下げたあと、3月20日には緊急会合を開き、新型コロナのパンデミック(世界的大流行)の悪影響により、タイ経済のリセッション(景気後退)懸念が強まったとして、0.25ポイント引き下げた。その後、3月25日の定例会合では据え置いたが、パンデミックの悪影響が一段と強まった5月、20年で3回目となる、0.25ポイント利下げを行った。この結果、2月以降の利下げ幅が計0.50ポイントに達し、政策金利も過去最低のゼロ金利水準となったことから、6月会合で現状維持に転換。据え置きはこれで10会合連続となる。

 中銀は会合後に発表した声明文で、デルタ株の感染拡大による経済への悪影響について、「感染拡大は21年のタイ経済に想定以上の悪影響を及ぼし、かなりの景気下ブレリスクとなる」とした上で、前回6月会合時と同様、「現在の政策金利はすでに景気回復を支えるため、低水準になっている。利下げよりも的を絞った形での企業や家計部門への特別融資制度を通じた流動性の潤沢供給や債務再構築(限定的な債務返済の凍結など)のほうが企業や家計の債務負担を減らすことができる。最も効果的なタイミングで、限られた政策金利の調整余地を使うことを決めた」とし、追加利下げよりも量的金融緩和(QE)による流動性の潤沢供給を優先させたい考えを改めて強調した。

 今後の金融政策については前回会合時と同様、「政府の景気対策と政府機関との政策協調が景気回復を支えるためには極めて重要だ」とした上で、「われわれの金融政策は引き続き緩和スタンスを維持しなければならない」との考えを示した。さらに、「タイ経済の景気見通しに影響を与える第3波の新型コロナ感染拡大とワクチン接種の普及と有効性、政府の財政や金融、融資での景気支援措置の効果を注視し、必要に応じ、追加の金融政策措置を講じる用意がある」とした。

 政府は景気減速に警戒感を強めており、20年4月に承認した1兆バーツ(約3.3兆円)の景気支援策の消化率が67%に達したことを受け、6月1日に家計への現金給付などを含む5000億バーツの追加景気支援策を決めている。

 次回会合は9月29日に開催される予定。

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提供:モーニングスター社