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<新興国eye>カンボジア銀行、「監督年次報告書2020」を発表
2021-07-16 13:26:00.0
6月14日、カンボジアの中央銀行であるカンボジア国立銀行(NBC)は、「銀行監督報告書2020」(英語版)を発表しました。この報告書は年1回発表されますが、カンボジアの銀行セクターについて詳細なデータも含んでおり、大変参考になります。
20年は、新型コロナの影響を受けてカンボジアのGDP成長率はマイナス3.1%に沈みました。特に、観光、輸出、建設等のセクターへの影響が甚大でした。そうした中で、金融セクターは、比較的に耐久力があり健全性を維持したことに加え、新型コロナの影響で返済が困難になった顧客を守ることもできたとしています。
20年末の商業銀行51行・特殊銀行12行の総資産は、19年末から14.7%増加して203.5兆リエル(約5兆5300億円)に達しました。20年末の貸付残高は、前年末比16.8%増の131.2兆リエル(約3兆5700億円)となりました。預金残高も、前年末比14.5%増の121.3兆リエル(約3兆3000億円)となっています。
貸付先をセクター別シェアで見ると、小売15.4%、住宅ローン13.1%、個人消費9.8%、卸売9.7%、建設9.7%、不動産8.3%、農林水産業7.5%などとなっています。不動産セクター(住宅、建設、不動産)向けは、19年からは増加しています。
商業銀行・特殊銀行の平均不良債権比率は、19年末の2.0%から若干上昇して、20年末は2.1%となっていますが、引き続き問題ない水準にあります。
NBCでは、金融の安定性、持続可能で包括的な成長を確保するため、国際的監督基準等に配慮しつつ、効果的な銀行監督を強化してきたとしています。新型コロナの影響下でも、金融のシステムリスクを軽減できたと分析しています。20年には、中央銀行デジタル通貨「バコン」の使用も世界に先駆けて開始できました。また、国家金融包摂戦略の推進、金融リテラシーの向上、消費者保護拡充等にも引き続き取り組んでいくとしています。
20年から21年にかけて、新型コロナの影響はカンボジア経済に大きな打撃を与えましたが、金融システムが揺らぐことはありませんでした。銀行の健全性を維持するための様々な規制や銀行監督が奏功したものと見られます。また、新型コロナの影響で返済が困難になった顧客については、返済を猶予する等の貸付条件の変更に柔軟に応じたことも評価されます。
ただ、新型コロナの収束までにはまだ時間を要するものと見られ、今後、不良債権が増加してくる可能性もないとは言えません。今後の状況については、引き続き留意する必要があるものと見られます。
【筆者:鈴木博】
1959年東京生まれ。東京大学経済学部卒。82年から、政府系金融機関の海外経済協力基金(OECF)、国際協力銀行(JBIC)、国際協力機構(JICA)などで、政府開発援助(円借款)業務に長年携わる。2007年からカンボジア経済財政省・上席顧問エコノミスト。09年カンボジア政府よりサハメトレイ勲章受章。10年よりカンボジア総合研究所CEO/チーフエコノミストとして、カンボジアと日本企業のWin−Winを目指して経済調査、情報提供など行っている。
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