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<新興国eye>カンボジアの21年GDP成長率は4%―中銀予測
2021-01-29 13:28:00.0
カンボジアの中央銀行であるカンボジア国立銀行(NBC)は、年初にあたり、「マクロ経済および銀行部門の2020年実績と2021年見込み」報告書を発表しました。カンボジア経済は、開放的で海外への依存度が高いため、新型コロナの影響を大きく受けたとしています。
20年のGDP(国内総生産)成長率は、政府予測のマイナス1.9%を下回る可能性が高いと予測しています。特に、観光セクターへの打撃と、縫製品輸出の落ち込みが影響しています。これに対し、農業と金融セクターへの影響は大きくなかったと見ています。また、輸出のうち、自動車部品、電気部品、自転車等は、金額はまだ大きくないものの健闘しているとしています。
20年の物価上昇率は2.9%と落ち着いています。また、リエルの対ドル為替レートも、NBCの介入もあって前年とほぼ同じレベルで安定的です。銀行セクターも実体経済の落ち込みの影響が限定的でした。NBCが実施してきた銀行の健全性強化策が奏功したとしています。
21年については、GDP成長率は4%程度にまで回復すると予測しました。物価上昇率は3%未満で安定的と見ています。為替レートや外貨準備高も安定的に推移するものと予測しています。観光セクターについては、回復までに時間を要するとみられるものの、縫製品輸出は、世界経済の回復に伴ってゆっくり改善していくと見ています。農業は、都市部での失業者の吸収に役立っていると見られ、引き続き安定的な成長を見込んでいます。また、海上油田での原油生産開始に期待を示しました。
このような状況下での課題として、内需の振興をあげています。
具体的には、中小企業振興と、イノベーションの振興が必要としています。また、経済の多様化など、産業開発政策の着実な実施が重要と指摘しました。金融セクターについては、個人債務増大がリスクになりつつあるため、金融包摂の推進と銀行の健全性維持に努める必要があるとしています。
また、高度にドル化したカンボジア経済においてリエルの使用促進が課題であると指摘しました。最後に、最新の技術を活用した経済活性化が重要であり、NBCが20年に運用を開始した中央銀行デジタル通貨(CBDC)のバコンへの期待を示しました。
【筆者:鈴木博】
1959年東京生まれ。東京大学経済学部卒。82年から、政府系金融機関の海外経済協力基金(OECF)、国際協力銀行(JBIC)、国際協力機構(JICA)などで、政府開発援助(円借款)業務に長年携わる。2007年からカンボジア経済財政省・上席顧問エコノミスト。09年カンボジア政府よりサハメトレイ勲章受章。10年よりカンボジア総合研究所CEO/チーフエコノミストとして、カンボジアと日本企業のWin−Winを目指して経済調査、情報提供など行っている。
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