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<新興国eye>カンボジア縫製協会、新型コロナ禍の最低賃金凍結を要求
2020-07-10 12:14:00.0
6月23日、カンボジア縫製製造業協会(GMAC)は声明を発表し、21年の最低賃金について、20年と同額を維持することを求めました。
カンボジアの縫製業界は、安い労賃をメリットとして、国際競争力を維持してきました。しかし、新型コロナで主要輸出先の欧米諸国で需要が急減していることに加え、8月からはEU(欧州連合)の特恵関税制度の1つEBA(武器以外のすべて)の一部資格停止も適用されるため、厳しい状況に追い込まれています。すでに400工場が操業停止・廃業し、15万人の労働者が一時帰休・失業に直面しています。
通常であれば、政労使の三者による労働諮問委員会で次年の最低賃金が検討されますが、こうした状況下では、最低賃金の引き上げは不可能であるとして、GMACは21年の最低賃金凍結を求めたものです。カンボジアの最低賃金法第11条には緊急事態条項があり、「必要な場合には、最低賃金の検討を延期し、延期している期間中は現行の最低賃金を維持する」としています。GMACでは、新型コロナで前例のない状況にあり、状況が改善するには相当の期間を要するとして、この条項を適用すべきであると主張しています。
20年1月1日から適用されているカンボジアの最低賃金は、月額190ドルです。19年の182ドルから4.4%の上昇でした。近年の最低賃金の上昇は、12年61ドルから13年80ドル(前年比31.1%増)、14年100ドル(同25.0%増)、15年128ドル(同28.0%増)と急激なものがありましたが、労働諮問委員会で客観的基準を使用し始めた16年は140ドル(同9.4%増)、17年153ドル(同9.3%増)、18年170ドル(11.1%増)、19年182ドル(同7.1%増)と伸び率は鈍化してきています。
カンボジアの主力産業である縫製業の動向は、カンボジア経済全体に影響する重要事項です。最低賃金については、政労使三者が納得する結論となることが期待されます。
【筆者:鈴木博】
1959年東京生まれ。東京大学経済学部卒。82年から、政府系金融機関の海外経済協力基金(OECF)、国際協力銀行(JBIC)、国際協力機構(JICA)などで、政府開発援助(円借款)業務に長年携わる。2007年からカンボジア経済財政省・上席顧問エコノミスト。09年カンボジア政府よりサハメトレイ勲章受章。10年よりカンボジア総合研究所CEO/チーフエコノミストとして、カンボジアと日本企業のWin−Winを目指して経済調査、情報提供など行っている。
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