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<新興国eye>世銀発表の「カンボジア経済アップデート2020」―新型コロナでマイナス成長へ
2020-06-12 11:24:00.0
5月29日、世界銀行は「カンボジア経済アップデート2020年5月:COVID−19におけるカンボジア」を発表しました。
カンボジアの20年の経済成長率については、GDP(国内総生産)の71.4%、雇用の39.4%を占める主要セクターである「観光」、「輸出」、「建設」が、新型コロナウイルス感染症(COVID−19)の影響を大きく受けるため、マイナス2.9%〜マイナス1%となるものと予測しています。これは、少なくとも176万人の雇用に影響することになります。
カンボジアは、新型コロナの感染は抑え込んでいますが、経済的な影響は、観光、輸出、海外直接投資などを通じて免れないとしています。
まず、観光は、新型コロナが発生した中国からの観光客が多いこともあり最初に大きな影響を受けています。輸出は、縫製品に偏った構造で、輸出先も欧米に集中しています。このため、先進国の需要蒸発の影響は大きいとしています。直接投資も中国からが多いことに加え、建設不動産に集中していたため、大きなマイナスは避けられないものと見られます。
そのインパクトは各方面に影響します。銀行セクターは、不動産の価格下落、建設ブームの終焉から、不良債権の増加が懸念されます。マイクロファイナンスも、借入人の輸入減少・喪失により、不良債権が増加するなどの影響が出ると見られます。財政も歳入が大幅に減少するため、財政赤字は対GDP比9.0%にまで拡大する見込みです。外貨準備については、19年末よりは減少するものの、168億ドル(輸入の6.8カ月分)を維持可能と見ています。
見通しとしては、ベースラインシナリオで、GDP成長率は、20年はマイナス1%となるものの、21年には6.0%にリバウンドするとしています。一方、悲観的シナリオでは、20年マイナス2.9%、21年3.9%に留まると見ています。
必要な政策として、喫緊の課題として、緊急経済対策と感染対策、短期的課題として経済回復政策、中期的課題として金融と社会的耐性の育成を提言しています。
【筆者:鈴木博】
1959年東京生まれ。東京大学経済学部卒。82年から、政府系金融機関の海外経済協力基金(OECF)、国際協力銀行(JBIC)、国際協力機構(JICA)などで、政府開発援助(円借款)業務に長年携わる。2007年からカンボジア経済財政省・上席顧問エコノミスト。09年カンボジア政府よりサハメトレイ勲章受章。10年よりカンボジア総合研究所CEO/チーフエコノミストとして、カンボジアと日本企業のWin−Winを目指して経済調査、情報提供など行っている。
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