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<新興国eye>世銀が半期経済報告を発表―カンボジアも新型肺炎で暗雲
2020-04-17 11:20:00.0
3月30日に世界銀行(世銀)は、東アジア・大洋州地域半期経済報告(2020年春)を発表しました。この報告書は、年2回春と秋に発行されています。
カンボジアの20年のGDP(国内総生産)成長率は、新型肺炎の影響で、これまでの予測(6.8%)から、基本シナリオで2.5%、低成長シナリオでは1.0%に引き下げられました。
今後についても影響は続くとして、基本シナリオで21年の成長率は5.9%、22年は6.3%としています。低成長シナリオでは、21年の成長率は3.9%にとどまります。観光がまず最大の影響を受けており、20年1−2月のアンコール遺跡入場者数はマイナス37.2%と大幅減少しています。建設セクターも、20年1月の鉄鋼輸入量が41.3%減少となっており、大きな影響を受けていると見られます。縫製業もEU(欧州連合)の特恵関税制度EBAの資格停止に加えて、新型肺炎の影響により世界的に需要が減退に直面しています。
物価上昇率は、20年2.3%(前回3.1%)、21年2.0%(前回3.0%)、22年2.1%と安定的と見ています。経常収支の赤字(対GDP比)は、輸出が落ち込むものの、オートバイ、携帯電話等の内需向け輸入が減退することもあり、20年は10.8%にとどまると見ています。
外貨準備は19年末時点で187億ドル(輸入の7カ月分以上)と、非常に潤沢で安定的な水準です。
今後のリスクとしては、観光客の継続的減少、世界経済の回復の遅れ、直接投資の大幅減少などを挙げています。
他方、最近導入された政府の対策、具体的には、影響を強く受けている産業への税免除、農村開発銀行を通じた支援などに期待を示しています。中小企業銀行による支援策については、実施までにまだ時間を要すると見ています。
【筆者:鈴木博】
1959年東京生まれ。東京大学経済学部卒。1982年から、政府系金融機関の海外経済協力基金(OECF)、国際協力銀行(JBIC)、国際協力機構(JICA)などで、政府開発援助(円借款)業務に長年携わる。07年からカンボジア経済財政省・上席顧問エコノミスト。09年カンボジア政府よりサハメトレイ勲章受章。10年よりカンボジア総合研究所CEO/チーフエコノミストとして、カンボジアと日本企業のWin−Winを目指して経済調査、情報提供など行っている。
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