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<新興国eye>カンボジア中銀、金融機関に貸し付けの10%以上のリエル化義務の履行求める
2019-09-13 11:36:00.0
カンボジアの中央銀行であるカンボジア国立銀行(NBC)は、8月に開催された第48回金融政策委員会で、金融機関(商業銀行、特殊銀行、マイクロファイナンス機関等)に対し、今年末が期限となっている貸付残高の10%以上を自国通貨リエル建てとする規制について、完全に実施するよう求めたとのことです。
16年12月1日、カンボジア国立銀行は、金融機関の自国通貨建て信用供与に関する省令を公布しました。この省令の目的は、高度にドル化しているカンボジア経済の状況に対し、金融機関の自国通貨リエル建ての信用供与を促進することにあります。省令では、19年12月31日までに金融機関に自国通貨建ての貸付を貸付全体の10%以上とすることを求めています。また、リエル建て信用供与の状況について、NBCが監督するとしています。
金融機関のうち、マイクロファイナンス機関の多くは、農村部に多くの借入人がいるため、すでにリエル建て10%という基準を十分に満たしているところが多いものと見られます。他方、都市部を中心としている商業銀行の一部では、顧客のドル建て希望が強いことに加え、銀行側も為替リスクを嫌う傾向があるため、ドル建て選好が続いているものと見られます。大手商業銀行のアクレダ(ACLEDA)銀行ではすでにリエル建て比率が12.5%となっているとしていますが、他の銀行ではリエル建て化が進まず苦労しているところもあるとみられます。
高度にドル化されているカンボジア経済においては、脱ドル化が必要ではありますが、その速度は非常にゆっくりと進める必要があります。一歩間違って、自国通貨への信認が揺らいだり、ドルへの両替が規制されたりすると、アルゼンチンのように自国通貨の価値が60分の1に減価するようなことになりかねません。貸付残高の10%という基準は、おおむね妥当なものとみられますが、難しい場合には無理を押し付けず、柔軟な対応が取られることが期待されます。
【筆者:鈴木博】
1959年東京生まれ。東京大学経済学部卒。1982年から、政府系金融機関の海外経済協力基金(OECF)、国際協力銀行(JBIC)、国際協力機構(JICA)などで、政府開発援助(円借款)業務に長年携わる。07年からカンボジア経済財政省・上席顧問エコノミスト。09年カンボジア政府よりサハメトレイ勲章受章。10年よりカンボジア総合研究所CEO/チーフエコノミストとして、カンボジアと日本企業のWin−Winを目指して経済調査、情報提供など行っている。
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