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新興国ニュース

<新興国eye>カンボジア中央銀行が「金融安定性調査報告書」を初公表

2019-05-10 10:34:00.0

 4月24日、カンボジアの中央銀行であるカンボジア国立銀行(NBC)は、金融安定性調査報告書(FSR)を初めて公表しました。カンボジア国立銀行では、IMF(国際通貨基金)の支援を受けて、11年から金融安定性委員会に年2回、金融安定性調査を報告してきました。今般、国際通貨基金のさらなる技術支援も受けて、この報告書を初めて公表することとしました。

 報告書は、マクロ経済の現状・安定性・見通し、金融システムの現状と課題、マクロ経済と金融のリンケージ及び金融安定性に対する潜在的リスク、の3章から成っています。

 今回の報告書では、世界経済の活発化に支えられた輸出の伸びによりマクロ経済は好調を続けている、海外直接投資や好調な観光により外貨準備は潤沢で問題ないとの現状認識を示しています。

 これに対するリスクとして、まず対外リスクは、米中貿易戦争、中国経済の予想以上の落ち込み、EU(欧州連合)の特恵関税制度見直し、英国のEU離脱をあげています。

 国内リスクとしては、不動産セクターの供給過剰にかなりのページを割いています。不動産セクターでは18年も大量供給が続いた上に、19年も遅延していたプロジェクトの完成や新規事業により供給が続くとしています。これに対し、中国等の外国投資による需要や国内の需要は弱まることが懸念されています。この状況に対応するため、中央銀行では、需要側と供給側の双方で対策を検討しているとしています。供給側では、不動産セクターへの貸出し抑制策(不動産・建設セクター向け貸付のリスクウェイトを高める等)、需要側では、融資比率規制(不動産評価の厳格化等)が検討されているとしています。

 この他、個人向け融資の増大に関連して、金融リテラシーの向上等も議論されています。

【筆者:鈴木博】
1959年東京生まれ。東京大学経済学部卒。1982年から、政府系金融機関の海外経済協力基金(OECF)、国際協力銀行(JBIC)、国際協力機構(JICA)などで、政府開発援助(円借款)業務に長年携わる。07年からカンボジア経済財政省・上席顧問エコノミスト。09年カンボジア政府よりサハメトレイ勲章受章。10年よりカンボジア総合研究所CEO/チーフエコノミストとして、カンボジアと日本企業のWin−Winを目指して経済調査、情報提供など行っている。

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提供:モーニングスター社