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<新興国eye>EU、カンボジア産のコメにセーフガード関税賦課を決定
2019-02-01 11:17:00.0
1月16日、現在無税となっているカンボジアとミャンマーからEU向けのコメの輸出について、EU(欧州連合)はセーフガード条項を発動して関税を賦課することを決定したと発表しました。
EUはカンボジアを含む後発途上国(LDC)に対して、関税を免除する特恵関税制度「EBA」を適用しています。カンボジアは、この制度を活用して、EU向けに縫製品やコメを無税で輸出してきました。これに対し、イタリア・スペインなどのコメ生産者が、自国のコメ生産に影響を及ぼすとして、以前から不満を表明していました。
カンボジアとミャンマーからのEUへのコメ輸出は、過去5年間で89%増加し、EU内のコメ価格は大幅に下落したとしています。このため、EU域内産米が占める割合は61%から29%に低下しました。
イタリアは18年2月に、カンボジアからのコメ輸入に対してセーフガード条項の発動を求める要請をEUに提出し、EUのコメ生産国全て(スペイン、フランス、ポルトガル、ギリシャ、ハンガリー、ルーマニア、ブルガリア)から支持を受けていました。
セーフガードとは、特定品目の貨物の輸入の急増が、国内産業に重大な損害を与えていることが認められ、かつ国民経済上緊急の必要性が認められる場合に損害を回避するための関税の賦課、もしくは輸入数量制限を行うものです。セーフガード条項が発動されると、追加的関税が賦課されることとなります。今回は、1年目175ユーロ(約2万2000円)、2年目150ユーロ、3年目125ユーロの関税(いずれもトン当たり)が1月18日以降賦課されるとしています。カンボジア産のコメの価格は、トン当たり900ドル(約10万3000円)程度であり、非常に大きな金額の課税となります。
EUでは、カンボジアの強権的な政治状況に関連して、特恵関税制度EBAの停止を検討している状況ですが、それに先んじてセーフガード条項の発動が検討されることとなり、カンボジアのコメ産業への影響が懸念される状況となっています。
【筆者:鈴木博】
1959年東京生まれ。東京大学経済学部卒。1982年から、政府系金融機関の海外経済協力基金(OECF)、国際協力銀行(JBIC)、国際協力機構(JICA)などで、政府開発援助(円借款)業務に長年携わる。07年からカンボジア経済財政省・上席顧問エコノミスト。09年カンボジア政府よりサハメトレイ勲章受章。10年よりカンボジア総合研究所CEO/チーフエコノミストとして、カンボジアと日本企業のWin−Winを目指して経済調査、情報提供など行っている。
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