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<新興国eye>カンボジア国債発行に向け、日本が協力してセミナー開催
2018-11-09 12:34:00.0
10月26日、プノンペンのラッフルズホテルにて、カンボジア経済財政省主催の「国債市場発展セミナー」が開催されました。カンボジア政府は、国債発行に向けてASEAN(東南アジア諸国連合)事務局の協力を得て、日本の財務省がスポンサーの日本アセアン金融技術協力基金を活用して、野村総合研究所<4307>による技術支援を受けています。今回のセミナーでは、経済財政省と野村総合研究所から、カンボジアにおける国債市場開発、周辺諸国の国債市場の紹介、国債発行に関するフィージビリティスタディの内容などが発表されました。
フィージビリティスタディでは、カンボジアで国債を発行した場合、期間5年もので、金利がドル建てで7%以上、リエル建て6.50−7.75%程度と高い水準となる一方、ODA(政府開発援助)などで借り入れた場合の金利が低い(日本の円借款金利は0.01%)ため、海外からの借金を代替する意味での国債発行は必要性が低いとしています。他方、カンボジア政府の資金フローの安定化、国家社会保障基金(保険・年金)などの機関投資家の安定的長期運用手段の提供といった意味では、リエル建ての国債発行は意味があるものとしています。
また、高度にドル化した経済の中でリエルの使用を促進するため、カンボジアの中央銀行(NBC)が銀行貸付の10%以上をリエル建てとすることを求めており、リエル建ての国債については一定の需要があると見込んでいます。発行は、法制度の整備も必要なため21年−22年ころ、当面の発行高は、年間6000億リエル−1兆2000億リエル(約168億−336億円)程度を見込んでいます。
カンボジアでは、インフラ整備等のために海外から借入れを行っていますが、今のところ金利が低く期間も長い譲許的借款(日本の円借款や国際機関からの借入等)のみを借り入れており、いわゆる「借金漬け」を免れています。国債を使った民間からの借入れは、金利が高く返済期間も短いものとなるため、政府の資金繰り安定化や金融機関のリエル使用促進といったことを目的とした限定的発行とすることが当面は必要となるものと見られます。
【筆者:鈴木博】
1959年東京生まれ。東京大学経済学部卒。1982年から、政府系金融機関の海外経済協力基金(OECF)、国際協力銀行(JBIC)、国際協力機構(JICA)などで、政府開発援助(円借款)業務に長年携わる。07年からカンボジア経済財政省・上席顧問エコノミスト。09年カンボジア政府よりサハメトレイ勲章受章。10年よりカンボジア総合研究所CEO/チーフエコノミストとして、カンボジアと日本企業のWin−Winを目指して経済調査、情報提供など行っている。
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