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新興国ニュース

<新興国eye>カンボジア、19年の最低賃金は月額182ドルで決着

2018-10-26 12:21:00.0

 19年1月1日から適用されるカンボジアの最低賃金は、月額182ドルで決着しました。現在は170ドルで、7.1%の上昇となります。

 最近の月額最低賃金の上昇は、12年61ドルから13年80ドル(前年比31.1%増)、14年100ドル(同25.0%増)、15年128ドル(同28.0%増)と急激に伸びましたが、労働諮問委員会で客観的基準を使用し始めた16年は140ドル(同9.4%増)、17年153ドル(同9.3%増)、17年170ドル(同11・1%増)と上昇幅が落ち着いてきています。19年は選挙も終わり、客観的基準に沿った想定の範囲内の概ね妥当な金額となったものと見られます。

 最低賃金は、政府、雇用者、労働組合の3者の代表28名が参加する労働諮問委員会で討議されてきました。雇用者側・政府側は177ドル、労働者側は189ドルを要求していましたが、10月4日の会議で投票が行われ、政府案の177ドル(同4.1%増)が多数を得て、労働大臣に答申されました(28名中26名賛成、2名棄権)。この結果を受けて、フン・セン首相は、毎度おなじみの鶴の一声で5ドル増額を加えることを決定し、最終的に182ドルで決着しました。

 内需振興のためにも、最低賃金の引き上げは必要不可欠ですが、急激な上昇は外国投資家の懸念となっていました。

 カンボジア政府では、最低賃金の検討に当って、労働生産性上昇率や物価上昇率等の客観的基準を16年の最低賃金から使用し始めており、雇用者側も労働者側も納得感が得やすい決定方式が次第に定着しつつあります。ベトナムよりも高くなっているとの声もありますが、社会保険料や手当等を含めた実支払額では、カンボジアのほうがまだ低いのが実情です。

 しかし、当面、労働集約型産業に頼る必要があるカンボジアとしては、周辺国との外資誘致競争に負けないよう、周辺諸国の賃金レベルも配慮する必要が高まっていると見られます。

【筆者:鈴木博】
1959年東京生まれ。東京大学経済学部卒。1982年から、政府系金融機関の海外経済協力基金(OECF)、国際協力銀行(JBIC)、国際協力機構(JICA)などで、政府開発援助(円借款)業務に長年携わる。07年からカンボジア経済財政省・上席顧問エコノミスト。09年カンボジア政府よりサハメトレイ勲章受章。10年よりカンボジア総合研究所CEO/チーフエコノミストとして、カンボジアと日本企業のWin−Winを目指して経済調査、情報提供など行っている。

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提供:モーニングスター社