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<新興国eye>カンボジアのマイクロファイナンス機関、買収相次ぐ
2018-09-14 11:17:00.0
8月29日、台湾の上海商業儲蓄銀行は、カンボジアのマイクロファイナンス機関大手AMKの株式80.01%を取得したと発表しました。取得額は24億台湾元(約87億円)としています。上海商業儲蓄銀行は、1916年に上海で設立されましたが、戦時中は国民党政府寄りだったため、共産党が権力を掌握した後、1965年に台湾で営業を再開したという銀行です。マイクロファイナンスのAMKは、総資産で第5位を占める大手機関で預金業務も認可されています。
また、8月24日には、韓国のNH農協銀行が、マイクロファイナンス機関のサミックの買収を決定したとの新聞報道がなされています。サミックでは、マイクロファイナンス業界内の競争が激化したため、事業継続が難しいと判断したとしています。「農協ファイナンス・カンボジア」としてカンボジア中央銀行と商業省の認可を得る計画としています。最高経営責任者(CEO)は新たに任命される予定ですが、その他の経営陣、従業員は、新たな機関でそのまま雇用されるとのことです。
8月14日には、古本販売や小型家電のリサイクルなどを手掛けるリネットジャパングループ<3556>が、チャムロン・マイクロファイナンスの買収に関し、カンボジア中央銀行から6月13日付で株式取得の承認を得たと発表しています。
6月24日、韓国の商業銀行であるウリィ銀行は、カンボジアのマイクロファイナンス機関大手のビジョンファンド(カンボジア)を買収したと発表しました。
過去に遡りますと、17年3月17日、スリランカのランカ・オリックス・リーシング・カンパニー(LOLC)は、カンボジアの大手マイクロファイナンス機関プラサックの株式を買い増し、出資比率を70%に引き上げたと発表しました。また、16年1月27日、三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>傘下にあるタイのアユタヤ銀行は、カンボジアのマイクロファイナンス機関ハッタ・カクセカー(HKL)の全株主と、HKLの発行済株式(議決権付)の全株式を取得することで合意したと発表しました。15年には、マルハンジャパン銀行とマイクロファイナンスのサタパナが統合して、その後サタパナ銀行となっています。
カンボジアのマイクロファイナンス機関は、17年のROE(自己資本利益率)が12.8%となおも比較的高い水準ですが、17年4月の上限金利(18%)導入以降、競争激化なども加わって経営環境が厳しさを増しています。こうした中で、マイクロファイナンスは、外資の注目するセクターとなりつつあり、買収が進んでいるものと見られます。
【筆者:鈴木博】
1959年東京生まれ。東京大学経済学部卒。1982年から、政府系金融機関の海外経済協力基金(OECF)、国際協力銀行(JBIC)、国際協力機構(JICA)などで、政府開発援助(円借款)業務に長年携わる。07年からカンボジア経済財政省・上席顧問エコノミスト。09年カンボジア政府よりサハメトレイ勲章受章。10年よりカンボジア総合研究所CEO/チーフエコノミストとして、カンボジアと日本企業のWin−Winを目指して経済調査、情報提供など行っている。
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