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新興国ニュース

<新興国eye>カンボジア国民議会選挙結果速報―与党人民党が圧勝

2018-08-10 11:26:00.0

 7月29日にカンボジア国民議会選挙が実施されました。全国2万2967カ所の投票所で投票が行われ、即日開票されました。選挙管理委員会の発表によりますと、全ての投票所で平和裏に投開票が実施されたとしています。

 注目されていた投票率については、事前登録した838万217人の登録有権者のうち688万5729人が投票し、暫定投票率は82.2%と、前回の2013年の69.6%を大きく上回りました。選挙前に、政権側が旧救国党等の棄権の呼びかけに対して厳しい対応を取ったため、棄権した場合の後難を恐れ、多くの有権者が投票せざるを得なかったものと見られます。

 選挙結果については、まだ確定していませんが、選挙速報を見る限りでは、各選挙区で与党の人民党が70−80%を確保しています。人民党が125議席中114議席を確保する見込みとされており、予想通りの人民党の圧勝となった模様です。

 野党では、フンシンペック党(予想6議席)や民主主義連盟党(予想5議席)等が健闘しましたが、旧救国党の支持者の受け皿にはなり得なかったと見られます。なお、人民党が全125議席を得たとの報道もあります。

 選挙管理委員会による暫定結果発表は8月11日以降の予定です。また、8月15日から9月10日の間に公式結果の発表が行われるとされています。

 なお、棄権すると後々与党側の嫌がらせ等があると見られていたため、投票するものの投票用紙にバツ印をつけるなどして無効票とすることで抵抗の姿勢を示す有権者もいた模様で、無効票の比率が高い投票所もあったとのことです。無効票は、全体では約60万票(投票の8.6%)に達し、前回13年の約10万票(1.6%)の6倍近くとなりました。

 今回の選挙では、フン・セン首相の強権的な手法が目立ち、内外の批判を招いていました。欧米は制裁をちらつかせて圧力をかけたものの、中国を後ろ盾とするカンボジアに対し、結果的には何の成果も得られませんでした。

 しかし、米国は下院がカンボジアへの制裁強化を行う法案を可決し、EU(欧州連合)はカンボジアの民主主義の状況を査察する調査団を派遣する構えです。欧米はカンボジアに対する圧力を高めつつあり、今後も欧米の対応には引き続き注視が必要と見られます。

 日本政府は、菅官房長官がカンボジア総選挙のあり方について「日本は選挙監視団を派遣しておらず、コメントは差し控えたい」と述べ、関係悪化につながりかねない発言は控えました。日本は、長年の友好関係や直接投資等の経済関係によって、カンボジアとは様々な対話のチャネルを有しています。この友好関係を基盤として、欧米とは異なるアプローチで粘り強く対話を続け、カンボジアにも国際社会にも受け入れ可能な現実的な着地点を求めていくことが期待されます。

【筆者:鈴木博】
1959年東京生まれ。東京大学経済学部卒。1982年から、政府系金融機関の海外経済協力基金(OECF)、国際協力銀行(JBIC)、国際協力機構(JICA)などで、政府開発援助(円借款)業務に長年携わる。07年からカンボジア経済財政省・上席顧問エコノミスト。09年カンボジア政府よりサハメトレイ勲章受章。10年よりカンボジア総合研究所CEO/チーフエコノミストとして、カンボジアと日本企業のWin−Winを目指して経済調査、情報提供など行っている。

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提供:モーニングスター社