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<新興国eye>EU、カンボジアに特恵関税継続か
2018-07-27 09:58:00.0
7月12日、欧州委員会(EC)および欧州対外行動局(EEAS)の調査団は、7月5日から11日までのカンボジア滞在中の調査結果を発表しました。EUでは、カンボジアに対して認めている特恵関税制度(EBA)に関して人権状況等が基本的な必要条件であるとしているため、調査団は、カンボジアで最近懸念されている人権や労働者の権利の状況について調査を行っていました。
EU(欧州連合)は、18年に入って外相理事会やカンボジアとの合同委員会で、最大野党の救国党党首の拘束や救国党解党命令等、カンボジアの強権的対応への懸念を表明し、改善が見られない場合は、カンボジアに対して認めている特恵関税制度に影響しかねないと警告していました。
今回は、政治的権利・選挙に関する権利の侵害、市民活動の抑制に焦点を当てた調査を行ったとしています。また、土地問題解決方法に関する欠陥や、結社の自由、団体交渉権に関する深刻な脅威も問題であるとしています。
EUでは、特恵関税を認めるにあたって、人権、基本的自由、労働条件等の尊重が重要な条件となっていると強調しています。その上で、調査結果を詳細に検討し、次のステップを考えるとし、さらに、特恵関税制度からカンボジアを排除することは、懸念事項に対処するすべての手段が尽きた後の最後の手段であるとして、慎重に検討する意向を示しています。
特恵関税制度については、カンボジア経済に重大な影響を与える事項であり、カンボジア経済にとって大きなリスクの一つでした。しかし、EUが結論を先送りしたことで、一息ついた形です。今後もEUとカンボジアで粘り強い対話が継続されることが望まれます。
【筆者:鈴木博】
1959年東京生まれ。東京大学経済学部卒。1982年から、政府系金融機関の海外経済協力基金(OECF)、国際協力銀行(JBIC)、国際協力機構(JICA)などで、政府開発援助(円借款)業務に長年携わる。07年からカンボジア経済財政省・上席顧問エコノミスト。09年カンボジア政府よりサハメトレイ勲章受章。10年よりカンボジア総合研究所CEO/チーフエコノミストとして、カンボジアと日本企業のWin−Winを目指して経済調査、情報提供など行っている。
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