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<新興国eye>カンボジア鉄道北線が全線開通―今後はタイとの直通運行を協議
2018-07-20 11:14:00.0
7月4日、カンボジア鉄道北線のプルサット−プノンペン間166キロメートルが開通しました。式典には、スン・チャントル公共事業運輸大臣も出席しました。
4月4日にカンボジア鉄道北線のタイ国境接続部のポイペト−シソポン間の改修が開通、4月29日には、シソポン−バッタンバン間が開通、5月29日にバッタンバン−プルサット間107キロメートルが開通し、順次開通部分を伸ばしてきました。今回の開通でタイとの国境からプノンペンまでの北線全線(約390キロメートル)が接続されたこととなります。鉄道の運営は、民間企業のロイヤル鉄道が行っています。運行本数や時刻表は今のところ不明ですが、7月末までは運賃無料としています。
スン・チャントル大臣によれば、さらに7月29日の下院総選挙までに、タイとの直通運行を実現するため、タイとの協議を早期にまとめたいとしています。
鉄道北線は、プノンペンと、タイ国境のポイペトを結んでおり、ポイペトから国境を越えてタイ国鉄と連結しています。フランスにより1929年から建設されたものです。1970年代以降の内戦での損傷が激しく、2010年からアジア開発銀行等の支援を受けてリハビリ工事を行いましたが、途中で資金不足となり、政府予算で細々と改修工事が行われてきました。
北線は開通したとはいうものの、線路がつながっただけであり、信号設備は一切なく、自動踏切もほとんどないのが実情で、開通早々、自動車との衝突事故などを起こしています。また、多額の予算が必要な橋梁の本格的改修や、細かい部分の完工は後回しとなっているものと見られます。7月の総選挙を前にして、「開通」という実績をアピールする狙いもあるようですが、安全で快適な鉄道として本格的に営業するまでには、まだ時間を要するものと見られます。
【筆者:鈴木博】
1959年東京生まれ。東京大学経済学部卒。1982年から、政府系金融機関の海外経済協力基金(OECF)、国際協力銀行(JBIC)、国際協力機構(JICA)などで、政府開発援助(円借款)業務に長年携わる。07年からカンボジア経済財政省・上席顧問エコノミスト。09年カンボジア政府よりサハメトレイ勲章受章。10年よりカンボジア総合研究所CEO/チーフエコノミストとして、カンボジアと日本企業のWin−Winを目指して経済調査、情報提供など行っている。
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