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新興国ニュース

<新興国eye>カンボジア中央銀行、「年次報告書2017」を発表

2018-06-22 11:13:00.0

 5月18日、カンボジアの中央銀行であるカンボジア国立銀行(NBC)は、年次報告書2017を発表しました。

 内容は、マクロ経済動向、金融政策、カンボジアの銀行システム、中央銀行活動、カンボジア金融情報機関(CAFIU)、国際協力、中央銀行の内部管理、18年の目標、などです。経済状況や金融システムを概観するにはとても有益な報告書です。

 17年の注目点は、まずマクロ経済の安定です。17年の成長率は6.9%でした。縫製、建設、観光が引き続き好調です。物価上昇率は前年と同じ2.9%でした。リエルの対ドル為替レートは、4050リエル/ドル近辺で推移しました。また、経常収支の赤字も減少傾向にあり、対GDP比7.1%にまで縮小しました。貿易赤字は、サービス収支(観光等)、移転収支(ODA等)、資本収支(直接投資等)の黒字で埋め合わせて、総合収支では、GDP比6.9%の黒字となりました。この結果、17年末の外貨準備は、約87億ドル(輸入の6カ月分以上)に達しています。

 NBCでは、金融包括の促進(18%の金利キャップ導入、金融教育の拡充等)、預金保護スキームの開発、金融インフラの開発(即時決済システムや中央共有交換メカニズム)、高度にドル化した経済の中でのリエルの使用促進、CAFIUによる資金洗浄やテロリズムへの資金供給を防止する対策等に努めたいとしています。

 今後の経済のリスクとしては、まず海外要因として、EU(欧州連合)経済の動向、米国の経済政策の不透明性、ドル高による輸出・観光への影響、縫製輸出市場である欧米の保護主義、中国経済の動向などを挙げています。国内要因としては、建設セクターの落ち込み、賃金上昇による国際競争力への影響、不完全な農産品市場による価格変動の影響などを挙げました。また、構造的課題として、インフラ改善の必要性、高い電力料金、高度なドル化経済、熟練労働力の不足などを指摘しています。

 カンボジアの金融・通貨制度は、整備の途上にありますが、地道な努力が継続されており、安定的な発展が期待されます。

【筆者:鈴木博】
1959年東京生まれ。東京大学経済学部卒。1982年から、政府系金融機関の海外経済協力基金(OECF)、国際協力銀行(JBIC)、国際協力機構(JICA)などで、政府開発援助(円借款)業務に長年携わる。07年からカンボジア経済財政省・上席顧問エコノミスト。09年カンボジア政府よりサハメトレイ勲章受章。10年よりカンボジア総合研究所CEO/チーフエコノミストとして、カンボジアと日本企業のWin−Winを目指して経済調査、情報提供など行っている。

◎当該記事は外部執筆者により作成されたものです。記事は執筆者が信頼できると判断したデータなどにより作成いたしましたが、その正確性などについて保証するものではありません。

提供:モーニングスター社