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<新興国eye>トルコリラ、過去最安値更新―米S&Pと米フィッチが懸念示す
2018-05-24 10:45:00.0
自国通貨トルコリラがドルやユーロなどの主要通貨に対し、トルコ中銀の金融政策に対する政府の影響力行使懸念で連日、過去最安値を更新していることを受けて、米信用格付け大手S&Pグローバル・レーティングスは22日、ロイター通信のインタビュ−で、トルコ中銀がこのままリラ安を放置すればトルコのソブリン債格付けが一段と引き下げられる、と警告した。地元紙デイリー・サバ(電子版)が伝えた。
これはS&Pのソブリン債上級アナリスト、フランク・ギル氏が明らかにしたもの。S&Pは5月2日、リラ安の進行や財政赤字、経常赤字の悪化などを理由に、トルコのソブリン債格付けをジャンク級の「BB−」(外貨建て)と「BB」(リラ建て)に引き下げたが、同氏は、「市場の混乱(トルコリラの急落)が続けば、現在、『安定的』としている格付け見通しを見直し、一段の格下げが行われる可能性がある」と警告。特に、通貨安の進行で、銀行からのドル建て融資の返済負担が増大していることや、国際収支の悪化の悪影響が経済成長に及ぶと懸念を示している。ただ、同氏は、「トルコには十分なバッファ(余白)がある。トルコ中銀が市場の混乱を回避するために断固とした行動をとれば問題を解決することができる」とも述べている。
一方、米英大手信用格付け会社フィッチ・レーティングスも同日、声明文を出し、トルコのエルドアン大統領が前週、ロンドンでの講演で、「6月24日の大統領選挙と国民議会総選挙で勝利すれば、インフレ率が高水準でも中銀に利下げを求める」と金融政策に一段と干渉する考えを示したことについて、「中銀独自の判断による金融政策決定や(金融政策の市場との認識のずれを防ぐための)金融政策の予見性が失われる可能性がある」と警告した。
その上で、フィッチは、「中銀の金融政策の独立性への妨害によって、外部からの資金調達が困難になり、マクロ経済の悪化、すなわち、経済政策に対する信頼の欠如や、ビジネス環境の悪化によって、トルコのソブリン債の信用に対する圧力が増す」とした。フィッチはリラ安の原因として、2ケタ台と高水準のインフレ率や経常赤字の拡大(1−3月期は164億ドルと、1年前の84億ドルから約2倍増)などを指摘している。フィッチは1月19日、トルコの外貨建て長期発行体デフォルト格付け(IDR)をジャンク級の「BB+」に据え置き、格付け見通しも「安定的」としている。
トルコリラは連日で過去最安値を更新している。22日、心理的に重要な4.60リラと4.65リラをあっさり突破。年初来で約18%も下落したが、同日のS&Pとフィッチのコメントを受けて、リラ安が一段と進み、23日には一時、4.845リラの過去最安値を更新している。
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提供:モーニングスター社




