金融市場の動揺収まらず、保有ファンドの扱いを考える
2022-09-08
世界の金融市場の動揺が収まらない。米国を始めとした各国の金融引締めの長期化による景気減速懸念は強まる一方で、不安定な状況は当面続くと見られる。保有しているファンドを売却すべきか悩んでいる投資家もいることだろう。どのように臨めばよいのだろうか。
国内株式パッシブファンドはリーマンショック時に数年で回復
パッシブファンドについては継続保有が求められよう。市場平均並みのリターンを狙うパッシブファンドでは、長期的なスパンで経済成長の果実を獲得するスタンスが基本であり、短期的な市場の値動きに右往左往するのは望ましくない。来るべき経済・市場の回復を待ちたいところだ。
図表1は、国内株式パッシブファンドについて考えるため、「TOPIX(配当込み)」に投資したと仮定した場合のシミュレーションの結果である。15年前の2007年の9月から2022年8月までの180カ月間に毎月2万円ずつ積立投資した場合(投資元本は360万円)と、2007年9月に360万円を一括投資した場合をシミュレートした。
2022年8月末時点の評価額は、積立投資が698万円、一括投資は598万円となった。一括投資の場合は、投資開始直後のリーマンショックの直撃を受けて2009年2月には評価額が172万円にまで減少し、欧州債務危機が響いて2012年にかけて元本を大きく割り込む状態が続いたが、2014年11月には評価益に転じ、その後は拡大基調にある。100年に一度と言われたリーマンショックの直撃を受けても、数年間で基の水準を回復できている点は心強い。また、積立投資の場合は、リーマンショックや欧州債務危機といった株安局面で購入量が増えたことがその後の株価回復・上昇局面で評価益押し上げに繋がった。パッシブファンドに投資している場合は、「長期・積立」を改めて意識したい。
アクティブでは長期的なパフォーマンスと市場平均
アクティブファンドはどうであろうか。アクティブファンドは市場平均を上回るリターンの獲得を目指す以上、狙いが当たって市場平均を大きく上回るリターンを獲得する可能性がある一方で、市場平均に大幅に劣後するリスクもある。運用期間が短いファンドについては判断材料が乏しい。継続保有を前提に購入時の想定を思い起こしてみたい。運用期間が長いファンドについては、長期パフォーマンスを改めて確認してみたい。
図表2は、カテゴリー「国内大型ブレンド」に属するアクティブファンド(確定拠出年金専用・ファンドラップ専用・ETF除く、通貨選択除く)のうち、2022年8月末時点の過去10年間のトータルリターンの%ランクが下位にある2ファンド(A、Bファンドとする)について、直近10年間の累積リターンを示したものだ。ちなみに、%ランクは、カテゴリーの中で上位からどの程度の位置にいるか(ランク)を%で示したもの。100ファンド中25位であれば25%となる。数値が低いほど相対的に良好ということになる。Aファンドは95%(=下位5%)、Bファンドは84%(=下位16%)であった。
両ファンドともにTOPIX(配当込み)をほぼ一貫して下回っている。また、2013〜2022年の各8月末時点の1年トータルリターンの%ランクを見ても、両ファンドともに一度も上位25%以内に入ったことがない。つまり、両ファンドともに運用成績の冴えない状態が継続し、市場平均を下回るリターンしか獲得できていない。
モーニングスターのホームページでは、個別ファンドのトップページにおいて過去1、3、5、10年間のトータルリターン等の%ランクを、「リターン」⇒「累積収益」と進めば暦年の%ランクを確認することができる。長期トータルリターンの%ランクが下位で、暦年の%ランクも冴えないファンドは、アクティブとしての役割を果たしているとは言えず、売却を検討すべきであろう。
図表3は図表2の逆で、「国内大型ブレンド」に属するアクティブファンドのうち、2022年8月末時点の過去10年間のトータルリターンの%ランクが上位にある「One 国内株オープン(愛称:自由演技)」(%ランクは1%)、「大型株ファンド」(同4%)について、過去10年間の累積リターンを見たものである。いずれもTOPIX(配当込み)をほぼ一貫して上回っている。長期的に市場平均を上回るパフォーマンスをあげているアクティブファンドを売却する必要はない。
長期好パフーマンスファンドでも“常勝”ではない
ただし、長期的なパフォーマンスが良好なファンドであっても、常に良好であるわけではない点には留意したい。図表4は、「One 国内株オープン」と「大型株ファンド」について、2013〜2022年の各8月末時点の1年トータルリターンの%ランクの推移を見たものだ。
「One 国内株オープン」は2019年(%ランク62%)、「大型株ファンド」は2017年(同98%)、2020年(同74%)における悪化が目立つが、いずれもその後回復している。悪化局面で売却してしまった場合には、その後の回復による恩恵を受けることが出来なかったことになる。長期的なパフォーマンスに優れるアクティブファンドについては、慌てて売却することは避け、継続保有を基本に腰を落ち着けて考えたい。
(武石 謙作)