資金フローにみる2021年の人気ファンド−際立つ米国株ファンドの存在感
2022-01-13
2021年の国内公募追加型株式投信(ETF除く)への純資金流出入額(12月はモーニングスター推計値を使用、以下同じ)は9兆2,748億円の純資金流入となった。モーニングスターのデータがある1998年以降で見ると、2007年の14兆4,704億円、2006年の13兆822億円の純資金流入に次ぐ3番目の高水準となった。けん引役は、米国など先進国の株式に投資するファンド。経済正常化期待を背景にした株高を受けて、資金流入ピッチが大幅に加速した。
「国際株式型」が2年連続のトップ、流入超過額は前年の2.3倍
2021年の国内公募追加型株式投信(ETF除く)への純資金流出入額をモーニングスター大分類別に見ると、国際株式型が8兆3,476億円の純資金流入となり、前年に続いて全10分類中でトップとなった。純資金流入額は前年(3兆5,922億円)の2.3倍に拡大。全体の純資金流入額に占める割合は90.00%と圧倒的である(図表1)。
主要な株式インデックスの2021年の騰落率を見ると、米国のS&P500が26.89%、ナスダック総合指数が21.39%、NYダウが18.73%の上昇となり、日本を除く世界の先進国の株価動向を示す「MSCI コクサイ・インデックス(米ドルベース)」は21.82%の上昇となった。日本も上昇したが、上昇率はTOPIX(東証株価指数)が10.40%、日経平均株価は4.91%にとどまった。新興国の株価動向を示す「MSCI エマージング・マーケット・インデックス(米ドルベース)」は▲4.59%と下落した。先進国、中でも米国の株価が好調であった。ポストコロナ関連物色に沸いた前年に続き、コロナワクチンの接種進展による経済正常化期待を受けて、S&P500、NYダウ、ナスダック総合指数の主要3指数が断続的に過去最高値を更新する流れが続き、米国株に投資するファンドに対する国内投資家の関心が高まった。
国際株式型カテゴリーが前年に続きトップ3を独占
大分類よりも細かい分類であるモーニングスターカテゴリー別で見ても、国際株式型の存在が際立つ。純資金流入額上位5カテゴリーを見ると、第1位〜第3位、及び第5位を国際株式型のカテゴリーが占め、いずれも前年と同じ順位となった。
トップは、日本を含む先進国の株式に投資する「国際株式・グローバル・含む日本(為替ヘッジなし)」で3兆6,129億円の純資金流入、第2位は「国際株式・北米(為替ヘッジなし)」で3兆1,890億円の純資金流入、第3位は日本を除く先進国の株式に投資する「国際株式・グローバル・除く日本(為替ヘッジなし)」で1兆158億円の純資金流入、第5位は「国際株式・北米(為替ヘッジあり)」で3,824億円の純資金流入となった(図表2)。
個別ファンドトップは「AB・米国成長株投信」、第3位に日興の大型設定ファンド
個別ファンド(ETF除く)の2021年の純資金流出入額を見ると、純資金流入額上位5ファンドの全てが国際株式型ファンドとなった(図表3)。
トップはアライアンス・バーンスタインの「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型」(AB・米国成長株投信Dコース(H無)予想分配金)で9,394億円の純資金流入となった。同シリーズの「Cコース毎月決算型(為替ヘッジあり)予想分配金提示型」も純資金流入額第8位(2,610億円の純資金流入)、「Bコース(為替ヘッジなし)」も第9位(2,224億円の純資金流入)と上位となった。
同シリーズは純資金流入額上位ランキングの常連で、米株高も相まって純資産残高の増加ペースも加速しており、シリーズ4ファンドを合計した純資産残高は2021年12月24日に3兆円の大台を突破した。「Dコース」の2022年1月12日時点の純資産残高は1兆6,694億円に達し、国内公募追加型株式投信(ETF除く)でトップである。
第2位は三菱UFJ国際投信の「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」。業界最低水準のコストを掲げるインデックスファンドシリーズ「eMAXIS Slim」の中でも、米株高を受けて旺盛な資金が流入した。2022年1月12日時点の純資産残高は9,665億円。国内公募追加型株式投信(ETF除く)の中で第3位であり、インデックスファンドで最大となっている。
第3位は日興アセットマネジメントの「グローバル・エクスポネンシャル・イノベーション・ファンド」となった。同ファンドは2021年4月26日の設定。設定日残高が2,860億円と2000年以降で見て過去3番目の規模となった。同ファンドは、日本を含む世界の企業の中から、既存の技術やノウハウの価値を破壊して全く新しい商品やサービスを生み出す「破壊的イノベーション」により、SDGs(持続可能な開発目標)を実現するための社会的課題解決への寄与が見込まれる企業の株式に投資する。カテゴリーは「国際株式・グローバル・含む日本(為替ヘッジなし)」に属しているが、2021年11月末時点のポートフォリオに占める米国の割合は83.6%と高い。
第4位は三井住友DSアセットマネジメントの「グローバルAIファンド(予想分配金提示型)」。同ファンドは、日本を含む世界の企業の中から、AI(人工知能)の進化、応用による高成長が期待される企業の株式に投資を行う。2021年11月末時点のポートフォリオの組入上位銘柄数は81で、組入比率上位は、電気自動車の米『テスラ』(組入比率6.3%)、マーケティング支援ツールなどを手掛ける米『ズームインフォ・テクノロジーズ』(同4.0%)、オンライン小売世界最大手の米『アマゾン・ドット・コム』(同3.8%)などとなっている。
第5位はSBIアセットマネジメントの「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド」(愛称:SBI・V・S&P500)。同ファンドは、米国バンガード社のETFを組み入れた低コストインデックスファンドシリーズ「SBI・Vシリーズ」3本のうちの1つ。投資先ETFの信託報酬を含めた実質的な信託報酬等(税込)が年0.0938%程度と、米国株式に投資するインデックスファンド(ETF除く)の中で最安である。低コストを背景に2019年9月の設定から2021年12月まで28カ月連続で純資金流入となり、純資産残高は2021年11月24日に4,000億円を突破して、2022年1月12日時点は4,653億円となっている。
なお、大分類別で国内債券型が6,440億円の純資金流入となり、国際株式型に続いた(図表1)。カテゴリー別でも「国内債券・中長期債」が6,461億円の純資金流入となり、第4位となった(図表2)。けん引役はマニュライフ・インベストメント・マネジメントの「マニュライフ・円ハイブリッド債券インカム・ファンド」。「年1回決算型」が1,847億円の純資金流入、「3カ月決算型」が918億円の純資金流入となり、シリーズ合計で2,766億円の純資金流入となった。同ファンドは、主に日本企業が発行する円建てのハイブリッド債券(劣後債)に投資する。ハイブリッド債券は、債務弁済の順位が劣るため、通常は同じ会社が発行する普通社債と比べて格付けが低い一方で利回りは高い。2021年11月末時点のポートフォリオの最終利回りは1.25%と日本国債の0.06%、日本投資適格社債の0.29%を上回る。同ファンドでは、投資適格以上のハイブリッド債券への投資を原則とすることもあり、国内で低金利環境が継続する中、相対的な利回りの高さから安全志向の資金が集まった。
※2021年12月30日配信 年末年始特集より一部加筆修正
(武石 謙作)